骨髄異形成症候群とは造血幹細胞自体に異常が起こり、細胞の増殖・成熟がうまく進まず、途中で次々と死んでいくために、貧血や白血球減少、血小板減少などの症状が現れる病気です。
骨髄異形成症候群はmyelodysplastic syndromeの頭文字をとってMDSと略されています。
一般に成人から高齢者に多く見られますが、近年では男性の高齢者に増えており、1998年度の調査では全国の患者数は7100人と推定され、特に70歳代がピークになっています。
経過が長く急性白血病に変わっていくものがあるため、難治性で予後が悪いのが特徴です。いろいろな治療が無効なため、不応性貧血とも呼ばれています。
発症すると、息切れや動悸、全身倦怠感といった症状が出てきますが、症状がゆっくりと進行するために、貧血を自覚する事があまりありません。
多くの場合、検診などで貧血と診断されたり、白血球減少による肺炎などの感染症や、血小板減少による抜歯後の止血困難などの出血症状をきっかけに、骨髄異形成症候群である事が判明します。
骨髄では異形成の名の通り、正常にみられない形をした細胞が見られたり、白血病細胞が少数ながらも見られることもあります。また、白血病細胞の比率が次第に増加して急性白血病に移行していくものもあり、白血病細胞の比率と形の異常で以下の5型に分けられています。
@ 不応性貧血
A 環状鉄芽球を有するもの
B 5〜20%に白血病細胞のあるもの
C 慢性骨髄単球性白血病
D きわめて白血病に近いもの
年齢が若く骨髄提供者があれば骨髄移植が行われます。骨髄移植は治癒の可能性が最も高い治療法のひとつですが、肉体的に負担がかかるため高齢者には実施できません。
最近では免疫抑制療法も効果があることがわかっており、抗リンパ球グロブリンで60%、シクロスポリンで80%の患者が改善するようになってきました。
ほかに行われる治療法としては、エリスロポエチン、顆粒球増加因子を用いるサイトカイン療法、タンパク同化ホルモン、ビタミンDによる分化誘導療法、化学療法などが行われています。またこれに伴って輸血や抗生物質、血小板輸血などの対症療法も多く行われています。
不応性貧血(骨髄異形成症候群)日本内科学会 骨髄異形成症候群における赤血球造血障害 骨髄異形成症候群の臨床像と体細胞遺伝子変異との関連 骨髄異形成症候群の診断と治療 |
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