血液は骨の中心部にある骨髄で造られています。骨髄には赤色をしたゼリー状の骨髄液が満たされており、ここにある造血幹細胞が分裂することで血球が造られます。
赤血球は始め、中心部に核のある原始的な形で生まれますが、成熟する過程でヘモグロビンが生成され、核が凝縮されていきます。やがて核は外に出され、その段階で赤血球は完全な形となり血管内に送り出されます。
赤血球は柔軟性に富んでおり、細い毛細血管を通過して全身の細胞に酸素を運搬する事ができるのですが、古くなってくると柔軟性が失われ毛細血管を通過する事ができなくなってしまいます。そのため、古くなり柔軟性がなくなった赤血球は脾臓で破壊処理されます。
赤血球の寿命は約120日とされています。1日に0.8%の赤血球が処理されているので、赤血球の量を一定に保つためには毎日赤血球が補給される必要があります。この段階で鉄やビタミンB12などが不足すると、ヘモグロビンの生成がスムーズに行われなくなり貧血が起こってしまいます。
脾臓で破壊された赤血球は老廃物として処理されますが、その際ヘモグロビンはヘムとグロビンに分けられ、そこに含まれている鉄分は体内でリサイクルされます。そしてヘムから鉄分が取り除かれた残りの部分はビリルビンという黄色い物質に変えられ、肝臓に送られて胆汁となり十二指腸に排出されます。
このように体内に入った鉄はなかなか排泄されず、腸管上皮の脱落、皮膚や汗、髪の毛、爪などからわずかずつしか失われません。成人男性では1日に0.5〜1mgですが、女性は生理による出血があるため毎月20〜30mg失われます。平均して1日1.5〜2.5mgが排泄されていることになります。
鉄の排泄量はごくわずかなので、健康な状態では男子で1日1mg、女性で2mgを補充すればよいということになります。また鉄は肝臓をはじめ脾臓や骨髄にも貯蔵鉄として蓄えられています。
したがって体内で鉄が不足するとまず貯蔵鉄が使用されるため、すぐに鉄が欠乏する事はありません。貧血症状が現れるということは、貯蔵鉄を使い果たしたという事になります。
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