鉄不足になる原因がないにも関わらず貧血症状が現れるという事は、消化管からの慢性的な出血が疑われます。消化管からの出血には癌などの重篤な病気の可能性もあるため注意が必要です。
鉄欠乏性貧血の原因はさまざまありますが、慢性出血による鉄の損失は大きな原因の1つです。慢性出血とは決して多くはないものの、継続的に少しずつ出血することをいいます。女性の生理も定期的であるので慢性出血といえます。
慢性出血で多いのが消化管からの出血です。これは胃腸の潰瘍やガン、胃壁や腸壁の傷、痔などがあって、少しずつ出血が続く事で鉄欠乏性貧血を引き起こします。
成人男性が1日に必要とする鉄分は1mgですが、1日あたり10mLの出血があるとすると、1日の必要量をはるかに超える5mgの鉄が毎日排泄されている事になります。慢性出血に気付かずこの状態が続くと、慢性的な鉄欠乏性貧血になります。
男性の場合は鉄の収支バランスがとれていて普通は貧血になりません。それにも関わらず鉄欠乏性貧血と診断された場合は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がん、大腸がん、ポリープ、腸憩室(腸壁の弱い部分の粘膜が外側へ拡張する病気)など胃腸の病気が隠れている可能性があります。
男性は貧血になりにくいため、仮になったとしても自分がそうだと思わないケースがほとんどです。症状が現れたとしても、仕事の疲労のせいにすることもあります。しかし、そうしている間にも確実に鉄は失われていき、ある日突然倒れて救急搬送されることもあります。
体調不良で病院を受診した場合、基本検査として血液検査が行われ、そこで貧血かどうかはすぐにわかります。貧血の症状に当てはまる自覚症状がある場合は、軽視せずにその陰にある慢性出血を疑って病院を受診するようにしましょう。
多発性十二指腸たこいぼびらんからの出血が原因と考えられる慢性貧血の1症例 頻回の肛門出血および重篤な鉄欠乏性貧血を主訴としたMunchausen症候群の1例 |
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