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吸収に数倍の差!ヘム鉄を効率よく摂取する3つのポイントとは

 鉄欠乏性貧血を改善するには鉄分の摂取が必要不可欠ですが、食品に含まれる鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄の方が数倍も体内に吸収されます。どうせなら効率よく摂取しましょう。

薬剤師のイメージ <この記事の著者>
 メディカルアーカイブ所属
 薬剤師 松田俊浩※

目次

※当サイトは医療専門職が監修した貧血に関する情報を提供していますが、インターネットや本の情報だけで自己診断するのは大変危険です。疑われる症状がある場合は専門医を受診する必要があります。貧血の原因は様々あるため、まずは内科を受診することをお勧めします。

ヘム鉄は数倍吸収がよい

 食物に含まれる鉄には2種類あり、肉や魚などの動物性食品に含まれているヘム鉄と、野菜や海藻などの植物性食品に含まれている非ヘム鉄があります。

 鉄のほとんどは小腸上部の粘膜から吸収されますが、吸収率はヘム鉄のほうが断然高く、ヘム鉄で10〜20%、非ヘム鉄で1〜6%と、数倍も吸収されやすいことがわかります。

 ヘム鉄は鉄原子と有機化合物が結びついた有機鉄の1つです。構造は二価鉄という形をとっており、溶けやすくイオン化しやすいのが特徴です。そのためそのまま小腸細胞から消化吸収されていきます。

鉄分摂取がアップする栄養は○○


ヘム鉄は動物性食品に多く含まれている

 ヘム鉄の仲間に赤血球に含まれるヘモグロビンと、筋肉色素タンパク質のミオグロビンという物質があります。

 ヘモグロビンは酸素と結びついて全身に酸素を運ぶ役割をしていますが、ミオグロビンも酸素と結びついて筋肉組織の中で酸素を蓄える働きをしています。

 赤身の肉や魚に鉄分が多いのは、ヘム鉄を含むミオグロビンが豊富なためです。

知って損なし!鉄分の多い食品




日本人は非ヘム鉄を多く摂っている

 非ヘム鉄は三価鉄という形をとっており、これはサビや無機鉄の鉄イオンの仲間で消化吸収されにくい構造になっています。そのため、非ヘム鉄は消化管内で動物性タンパク質に含まれる消化酵素やビタミンC、胃酸などの還元物質によりヘム鉄(二価鉄)になることで初めて吸収されます。日本人が摂取する多くが非ヘム鉄といわれています。

1日に必要な鉄分はどれくらい?

 これは肉類よりも野菜や穀物、海藻などを摂る割合が高いからです。当然これら非ヘム鉄は吸収効率が劣るわけですから、食べている量は多くても意外に吸収されていないということになります。

 したがって、非ヘム鉄を有効に摂取するためにはビタミンCやタンパク質を多く含む食品を一緒に摂る必要があるのです。

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薬剤師のイメージ
<この記事の著者>
 メディカルアーカイブ所属 薬剤師 松田俊浩※
<著者の略歴>
 貧血全般はもちろんのこと、血液の病気や栄養学を専門として活動しており、貧血の正しい知識や食事療法の指導を行っている。