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貧血検査の数値(基準値)と項目とは?検査はどうやって行う?

 貧血の検査はとっても簡単です。「ひょっとして自分は貧血かも!?」と思っている人は病院で検査(血液検査)を受けてみましょう。貧血かどうかは血液検査の数値(検査データ)ですぐにわかります。

薬剤師のイメージ <この記事の著者>
 メディカルアーカイブ所属
 薬剤師 松田俊浩※

目次

※当サイトは医療専門職が監修した貧血に関する情報を提供していますが、インターネットや本の情報だけで自己診断するのは大変危険です。疑われる症状がある場合は専門医を受診する必要があります。貧血の原因は様々あるため、まずは内科を受診することをお勧めします。

貧血の検査はどうやって行う?

 貧血の検査は、まず腕などの静脈から血液を2〜3mL採取し、赤血球の数やヘモグロビン濃度などを調べます。この赤血球やヘモグロビン濃度がなんらかの原因で減少した状態を貧血といいます。

 貧血かどうかを判断する上でよく用いられるのがヘモグロビン濃度です。ヘモグロビンとは赤血球の中に含まれる赤い色素で、鉄を含んでいます。この鉄と酸素が結びつくことで、全身の細胞に酸素を運ぶ役割を果たします。

 つまりヘモグロビンが少ないという事は酸素をあまり運べなくなるため、貧血症状が現れることになります。

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貧血検査(血液検査)の数値の見方

 よく貧血検査の数値が9とか10という表現をしますが、これはヘモグロビン濃度が9g/dLや10g/dLであることを意味します。

 目安となるヘモグロビン濃度の値は、血液1dL中に男性で14g以下、女性で12g以下、男女差がなくなる高齢者では11g以下が貧血と診断されます。

 つまり、検査の数値が7や8の場合は貧血であり、女性で数値が6の場合は正常値の半分しかヘモグロビンがなく、重度の状態であるといえます。

 ただし、貧血と一言でいっても心配のないものから重症のものまであるので、より正確に診断するためにはさらにヘマトクリットやMCV(平均赤血球容積)、網赤血球などの検査も行います。

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血液検査の基準値(数値)はどのくらい?


検査項目 基準値(数値)
赤血球数 男性 410万〜550万個/μL
女性 380万〜480万個/μL
白血球数 4000〜9000個/μL
血小板数 12万〜40万個/μL
ヘモグロビン(Hb) 男性 14〜18g/dl
女性 12〜16g/dl
ヘマトクリット(Ht) 男性 40〜50%
女性 36〜45%
MCV 81〜100fl
MCH 27〜32pg
MCHC 31〜36%



血液検査項目と数値からわかること

 貧血を診断する上で血液検査は必要不可欠です。血液検査ではヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、赤血球数の3項目が基本となり、なかでも重視されるのがヘモグロビン濃度です。

 また、これらの3項目から求められるMCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)は赤血球指数と呼ばれ、その数値を見ることで赤血球の状態を確認したり、貧血タイプの分類に用いられます。


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赤血球数

 貧血の原因には様々なものがありますが、赤血球の原料となる鉄が不足したり、造血機能が低下して赤血球の産生量が低下したり、なんらかの理由で破壊されたりすると、血液中の赤血球数が低下します。赤血球数の正常値は、男性で410万〜550万個/μL、女性で380万〜480万個/μLとされています。

ヘモグロビン濃度(Ht)

 ヘモグロビンは赤血球に含まれる赤いタンパク色素で、ヘムと呼ばれる分子とグロビンと呼ばれるポリペプチドからできています。ヘムには鉄が結合しており、これが酸素と結びつくことで赤血球は酸素を運搬することができます。

 そのため、ヘモグロビン濃度が低いという事は酸素の運搬能力が低いという事であり、貧血症状が現れやすくなります。ヘモグロビン濃度の基準値は、男性で14〜18g/dL、女性で12〜16g/dLとされています。

ヘマトクリット値

 ヘマトクリット値とは血液中に占める血球体積の割合を表しています。血液は赤血球などの血球と、液体成分の血漿から成っており、血液をガラス管にとって遠心分離し、底に沈んだ血球成分の層の厚さを百分率で表したものがヘマトクリット値となります。

 血球成分には白血球や血小板も含まれていますが、そのほとんどが赤血球で占められているため、ヘマトクリット値はほぼ赤血球容積とみなされています。この数値が高ければ多血症(血液中の赤血球の割合が増加する疾患)が、低ければ貧血が疑われます。

平均赤血球容積(MCV)


 ヘマトクリット値と赤血球数から算出されるのが、平均赤血球容積(MCV:赤血球1個の容積の平均)です。簡単に言えば赤血球の大きさを表しています。貧血と一言で言っても、赤血球の大きさによって貧血の原因が異なります。

 赤血球が通常の大きさの場合は「正球性貧血」、基準より低い場合は「小球性貧血」、基準より高い場合は「大球性貧血」といいます。正常値は81〜100flで、正常値より高いと悪性貧血や葉酸欠乏性貧血が疑われ、低いと鉄欠乏性貧血が疑われます。

平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)


 ヘモグロビン量と赤血球数から算出されるのが、平均赤血球ヘモグロビン量(MCH)で、赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビン量の平均値を表しています。正常値は27〜32pgとされています。

平均赤血球色素濃度(MCHC)


 ヘマトクリット値とヘモグロビン量から算出されるのが、平均赤血球色素濃度(MCHC)で、一定容積の赤血球に含まれるヘモグロビン量の平均値を表しています。MCHCの正常値は31〜36%とされています。

網赤血球

 網赤血球は造られたばかりの若い赤血球の事で、これが赤血球全体の中にどれくらい含まれているかを調べれば、血液の製造元である骨髄の造血機能が確認できます。

 体内の赤血球量が減少した場合、正常な造血機能があれば赤血球が増産されるため、網赤血球は増加します。しかし、貧血であるにも関わらず網赤血球の数値が低いということは、骨髄の機能低下による再生不良性貧血が疑われます。

 逆に網赤血球の数値が高い場合は赤血球の寿命が短いために起こる溶血性貧血が疑われます。網赤血球の正常値は1〜2%とされています。

次の記事
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<この記事の著者>
 メディカルアーカイブ所属 薬剤師 松田俊浩※
<著者の略歴>
 貧血全般はもちろんのこと、血液の病気や栄養学を専門として活動しており、貧血の正しい知識や食事療法の指導を行っている。