貧血の症状といえば、一般的にはめまいや立ちくらみを連想しがちです。しかし、現れる症状は多岐に渡るため、気付かずに日常生活を送っている人も少なくなりません。あなたが悩んでいるその症状は貧血が原因かも!?
貧血の症状というと「立ちくらみ」を連想する方がたくさんいますが、立ちくらみは脳貧血と呼ばれ、貧血とは関係ありません。
貧血が急激に起こる事はなく、徐々に進行してきます。そのため症状もはっきりしたものがなく、なんとなく頭が痛かったり、肩がこったり、疲れやすかったり、顔色が悪かったりします。
つまり、日常起こり得そうな体調不良の症状が多く、体調の悪さを自分の体質や疲労の蓄積と諦めてしまい、貧血と気づかずに生活している人が多いのが現状です。
原因は様々ありますが、血液中の赤血球が不足することで全身に運ぶ酸素量が少なくなり、体が酸素欠乏して症状が現れることは共通しています。つまり、貧血は全身の酸欠によって起こるため、症状は全身に現れます。
貧血症状のイメージといえば「だるい」「めまいがする」などを連想しますが、意外な症状もたくさんあり、多岐に渡ります。以下に症状の具体例を示します。自分に当てはまるものはありますか?
体調に関する症状
疲れやすい
だるい
めまいがする
動悸や息切れがする
眠気
吐き気
胃痛
頭痛や肩こりに関する症状
頭痛
肩こりがある
頭が重い
顔色が悪い
食事に関する症状
食べ物が飲み込みづらい
口の端が切れる
舌の表面がツルツル
煎餅など硬いものを大量に食べたくなる
酸味がしみる
肌・髪・爪に関する症状
爪がスプーン状になる
爪が割れやすい
枝毛・抜け毛が増える
肌がカサカサする
思い当たるものはありましたか?貧血といえば「めまい」や「だるさ」くらいに考えられがちですが、実際にはこれだけの症状があります。貧血は血液の病気ですので、全身を駆けめぐる血液の調子が悪いと、体のあちこちに障害が出てもおかしくありません。
生理で定期的に鉄分を失う女性と違い、男性は出血しない限り体内から鉄分を失うことはなく、血液を活発につくろうとする男性ホルモンの働きもあり、男性が貧血になる事は通常ありません。
つまり、男性に貧血の症状が現れるという事は、体内のどこかで慢性的に出血しているということになります。
男性に症状が現れた場合、以下のような病気の可能性が高い確率で考えられます。
胃・十二指腸潰瘍
胃がん
大腸がん
大腸ポリープ
痔
このような消化器系疾患による出血がある場合、便の色が「黒色のタール便」や「赤褐色から鮮紅色の便」になります。この便の色の違いは出血箇所によって異なります。
胃や十二指腸で出血している場合は血液が胃酸や消化酵素と反応することで黒くなり、それが便に混ざることでタールのような黒色になります。一方、大腸や肛門付近の痔から出血した場合は、血液の色が変わることなく便に混ざるため、赤褐色から鮮紅色の便が出るようになります。
消化管からの出血に気付かずに大腸がんが進行してしまったり、重度の貧血で倒れてから病院に搬送されることも少なくありません。健康診断で便潜血検査を受けるのはもちろんのこと、日ごろから排便後に便の色を観察する習慣をつけることが病気の早期発見につながります。
急に立ち上がったり起き上がったりすると、目の前が暗くなったり、目がチカチカすることがあります。このような症状は「貧血によるもの」と思われがちですが、それは間違いです。
急に立ち上がったりすることで一時的に血圧が下がり、脳に十分な血流が行かなくなることで、目の前が暗くなったり、目がチカチカする症状が現れるもので、これを脳貧血または起立性低血圧と言います。
脳貧血は起立性低血圧や血管迷走神経失神が原因であるため、まったく異なります。貧血は鉄分不足や造血機能の低下で赤血球が減少することによって発症しますが、脳貧血は血液を調べても異常はありません。
症状の現れ方には個人差があり、まったく症状が出ない人もいれば、強めに症状が出る人もいます。しかし、必ずしも症状の強さが病気の重さと比例しているわけではありません。
こうした自覚症状はあっても「大した事ではない」と自己診断してしまうのは危険な事です。倦怠感や息切れなどの症状が出る病気はほかにもたくさんあり、命にかかわる重篤な病気を見逃してしまうことにもなります。
これらの症状がある時は一度きちんと病院で調べてもらい、原因を明らかにしておくことが大切です。検査は簡単に行う事ができ、原因がはっきりしやすいのも貧血の特徴です。
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