鉄分をちゃんと摂っているのに貧血が改善しないで悩んでいる…。そんな人は胃内のピロリ菌が原因かも!?ピロリ菌は胃酸の分泌量を減らし、鉄分の吸収を減らしてしまうことがわかっています。ピロリ菌が貧血を引き起こすしくみを知っておきましょう。
鉄には動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄があり、ヘム鉄は体内で吸収しやすい二価鉄ですが、非ヘム鉄は体内で吸収しにくい三価鉄となっています。
我々は食生活の中でヘム鉄と非ヘム鉄をいずれも摂取しているため、吸収しにくい非ヘム鉄をいかに体内に吸収できるかが貧血改善のポイントとなります。
この非ヘム鉄を吸収しやすくするために必要なのが胃酸です。胃酸の成分は塩酸であり、この強い酸が食品に含まれる鉄をイオン化し、ビタミンCなどの働きで三価鉄が二価鉄に変化することで、体内に吸収されやすくなります。
しかし、胃酸を分泌する胃粘膜がダメージを受けた場合、十分な量の胃酸が分泌されなくなるため、鉄分の吸収がしにくくなって鉄欠乏性貧血となります。
胃酸分泌に重要な胃粘膜に悪影響を与えるのがピロリ菌です。ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍の原因菌として認知度が上がり、健康診断でも検査が受けられるようになりました。
胃粘膜がピロリ菌に感染すると、そこに炎症が起こります。この状態を胃炎といい、炎症部位が胃の全体に及ぶと慢性胃炎となります。
胃炎が進行すると粘膜が萎縮し、胃酸の分泌量も低下します。これによって鉄の吸収量が低下するのですが、胃もたれや食欲不振によって鉄の摂取量自体が減少してしまいます。
鉄欠乏性貧血の7割は鉄が不足する原因を特定できますが、残りの3割についてはこれまで鉄不足の原因を特定することができませんでした。
しかし、近年の調査で原因不明とされてきた3割の中にピロリ菌感染者が多くいる事がわかり、ピロリ菌を除菌すると症状が改善することもわかってきました。
胃内のピロリ菌を除菌すると聞くと難しい治療を連想するかもしれませんが、除菌は抗菌剤を1週間服用するだけで済みます。鉄分を摂っているのに症状が改善せず、慢性的な腹痛がある場合は一度ピロリ菌検査を受ける事をお勧めします。
鉄欠乏性貧血とHelicobacter pylori感染症 日本内科学会 |
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