再生不良性貧血は造血幹細胞の喪失によって起こる貧血で、一般には白血球と血小板の減少を伴う骨髄の造血機能低下によるものです。軽症ではタンパク同化ホルモン療法、中等症や重症では免疫抑制療法があります。
免疫抑制療法にはATG療法やシクロスポリン療法があります。46歳以上の場合や適合性のある骨髄提供者(ドナー)がいない場合に選択されます。ATG療法が不可能であれば、メチルプレドニゾロン大量パルス療法を試みることもあります。一年以内の発症早期に免疫抑制療法を行うと寛解率が高くなります。
最重症の場合、免疫抑制療法に顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を併用します。ATF療法とシクロスポリン療法では効果がない場合でも、G−CSFによる治療が有効な事があります。
軽症 | タンパク同化ホルモン療法 | |
中等 〜 重症 |
免疫抑制療法 :ATG療法(抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン療法、抗ヒトTリンパ球ウサギ免疫グロブリン療法) :シクロスポリン療法 メチルプレドニゾロン大量パルス療法 |
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最重症 | 免疫抑制療法+顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF) |
薬剤 | @ タンパク同化ホルモン :メテノロン(プリモボラン)、スタノゾロール(ウインストロール) A 副腎皮質ステロイドホルモン :プレドニゾロン(プレドニン、プレドニゾロン)、メチルプレドニゾロン(メドロール) |
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作用 | @ タンパク同化ホルモンは造血組織に働き、造血幹細胞を刺激する事により赤血球産生増大作用を示します。 A 副腎皮質ステロイドはリンパ球障害や抗体産生抑制など免疫を抑える働きを示します。 |
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副作用 | 肝機能異常、ナトリウム値やカリウム値の異常、血糖値上昇、感染症の誘発 | |
注意事項 | 投与を急に中止すると離脱症状が現れることがあるので、中止する時は注意深く少量ずつ減量しなければなりません。 |
薬剤 | 抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン(リンフォグロブリン) 抗ヒトTリンパ球ウサギ免疫グロブリン(ゼットブリン) |
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作用 | T細胞に結合し、免疫抑制作用を示します。 | |
副作用 | 投与中または投与後早期にアナフィラキシー反応(ショック状態)を起こす事があり、慎重に投与する必要があります。 投与後数日して認められるものに、関節痛、関節のこわばり、血圧上昇、狭心痛があります。投与後10日くらいして紅斑や体重増加、タンパク尿などの血清病が出現する事があります。 |
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注意事項 | 動物血清製剤jなので、患者が過去に本剤または類似薬の使用歴がある場合は投与できません。 アナフィラキシー反応を避けるため薬剤の一部を1時間以上かけて点滴静注したり、皮内テストをして安全性を確認してから投与します。 |
薬剤 | シクロスポリン(ネオーラル) | |
作用 | ヘルパーT細胞の活性化を抑制し、強力な免疫抑制作用を示します。 | |
副作用 | 腎・肝・膵臓機能障害 | |
注意事項 | 相互作用が多い薬剤なので、他の薬剤を使用する時は必ず医師、薬剤師に相談して下さい。 |
薬剤 | 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF) :フィルグラスチム(グラン)、レノグラスチム(ノイトロジン)、 ナルトグラスチム(ノイアップ) |
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作用 | 骨髄に作用し、好中球の分化増殖を促進させ、その機能を亢進します。そのため重篤な感染症合併の危険性を回避し、正常な造血機能全体を促進する作用も期待されています。 | |
副作用 | 高容量のため骨痛を起こす事があります。そのほか、悪心、嘔吐、間質性肺炎、発疹、肝障害などがあります。 | |
注意事項 | ノイアップは小児の再生不良性貧血に使用されます。 |
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