悪性貧血と同様にビタミンB12が欠乏して起こる貧血があります。それは手術で胃を切除した場合に起こります。胃を切除する事でビタミンB12の吸収を助ける内因子が不足するため、ビタミンB12の欠乏が起こり貧血になるのです。
このメカニズムは悪性貧血と同じですが、内因子欠乏の要因が異なるために悪性貧血とは区別しています。
ビタミンB12は肝臓に蓄えられており、その貯蔵量はおよそ5mgです。私たちが1日に必要なビタミンB12の量は1μgといわれており、単純計算では13年でビタミンB12の蓄えが枯渇する事になります。
しかし実際にはもっと早く、胃を切除してから5年くらいでビタミンB12の蓄えが枯渇し貧血になるのです。よって胃を切除された方は、症状が現れていなくても定期的に検査を受けておく事が大切です。
ビタミンB12とともに赤血球産生の時に不可欠な栄養素に葉酸があります。葉酸も体内でつくる事ができず、食物から摂取しなければなりません。肝臓に蓄えられている貯蔵量は約5mgで、1日あたりの必要量は50〜100μgとなっています。
ビタミンB12と貯蔵量は同じですが必要量が多く、食物などから葉酸が摂取できない場合は3〜4ヶ月で枯渇してしまいます。
葉酸は緑黄色野菜に多く含まれており、日本の食生活で欠乏する事はまれです。ただし、食事を満足に摂らないアルコール中毒の人にはまれにみられます。また、妊娠中は葉酸の需要が増大し、毎年のように出産を繰り返していると葉酸欠乏になりやすいといわれています。
葉酸欠乏性貧血の症状は一般的な貧血と同じで、ビタミンB12欠乏性貧血のような神経症状は現れません。治療は葉酸の経口投与と食事の改善で治ります。
なお、ビタミンB12や葉酸が欠乏すると、骨髄での赤血球成熟過程において異常な巨赤芽球が出現します。そのため、ビタミンB12欠乏や葉酸欠乏による貧血を総称して巨赤芽球性貧血と呼ぶ事もあります。
悪性貧血およびビタミンB12欠乏性貧血に対するビタミンB12製剤の経口投与の有効性 回腸切除後にビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血をきたした2例 胃全摘後の巨赤芽球性貧血に経口ビタミンB12投与が有効であった2症例 全身の色素沈着を伴ったビタミンB12欠乏巨赤芽球性貧血の1例 |
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