私たちの体に存在する鉄は、70%がヘモグロビンとして存在しており、残り30%は肝臓や脾臓、骨髄などに蓄えられた貯蔵鉄として存在しています。
体内で鉄が不足した場合はこの貯蔵鉄を使用するためすぐに鉄欠乏性貧血になることはありませんが、不足の状態が続くと貯蔵鉄が枯渇し貧血が起こります。
貯蔵鉄が枯渇してしまうと食事などで貯蔵鉄を回復する事は難しく、常に貧血が起こりやすい状態になります。そのため、貯蔵鉄が枯渇した鉄欠乏性貧血の治療には鉄剤を使用します。
鉄剤とは精製した鉄粉を主原料にしたもので、塩化第一鉄やフマル酸第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウムなどの鉄化合物の鉄剤が一般的です。鉄剤には食事の中に含まれる鉄よりもはるかに大量の鉄を含んでおり、しかも吸収されやすいヘム鉄の状態なので、効率よく鉄を摂取する事ができます。
鉄剤にどんなに鉄分を含んでいても、体内での鉄の吸収は徐々に行われるため、鉄剤の服用は長期に及んでしまいます。一般的に鉄剤の効果が現れるのは、鉄量として1日100〜150mgを2〜3ヶ月服用してからの事です。
その頃になると肩こりや頭痛といった貧血の症状もすっかり消え、鉄欠乏性貧血は改善されます。しかし貧血の再発を防ぐためにも、さらに3ヶ月ほどは鉄剤を飲み続け、貯蔵鉄量を増やす必要があります。つまり、鉄剤の服用期間は半年ほどと考えておく必要があります。
この事を知らない場合、鉄剤の服用を開始してもすぐに効果が出ないからといって勝手に服用をやめてしまう人がいます。これではせっかく鉄剤で治る貧血も治らなくなってしまいます。
しかも鉄剤の服用中止を医師が知らない場合は、その後の治療判断に支障をきたすこともあります。また服用中止とは逆に、貧血を早く治したいからといって鉄剤の服用量を勝手に増やす事も問題です。医師に指示された鉄剤の服用期間と服用量をきちんと守るようにしましょう。
静注用鉄剤で治療した鉄欠乏性貧血の貯蔵鉄減少率とその臨床的意義 鉄欠乏性貧血と鉄剤の与えかた 鉄剤不応性の鉄欠乏性貧血 |
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